セレストロン(Celestron)の歴史と魅力|シュミット・カセグレンを世界に広めた望遠鏡メーカー

こんにちは。
カメラ・光学機器買取専門店「カメラ堂」の長尾です。
当店では、カメラやレンズだけでなく、天体望遠鏡や赤道儀、アイピースなどの光学機器もお買取りしています。
天体望遠鏡のメーカーとして、世界的に知られているブランドの一つがCelestron(セレストロン)です。
特に「C8」に代表されるシュミット・カセグレン式望遠鏡は、セレストロンを代表する製品として長く知られています。
今回は、セレストロンがどのようにして現在のブランドへと発展していったのか、代表的なモデルや技術とともに、その歴史を振り返ってみたいと思います。
セレストロンの始まり
セレストロンの歴史は、1950年代後半までさかのぼります。
創業者のトム・ジョンソン(Tom Johnson)は、カリフォルニアで電子機器会社を経営していました。
天文学に興味を持っていたジョンソンは、息子たちに星を見せるための望遠鏡を探していましたが、満足できるものが見つからなかったことから、自ら望遠鏡を製作することになります。
最初に製作したのは6インチの反射望遠鏡でした。
その後、望遠鏡の製造を事業として発展させることを目指し、1960年にCelestron-Pacificを設立しました。
ここから、現在まで続くセレストロンの歴史が始まります。
シュミット・カセグレンに注目したセレストロン
セレストロンの歴史を語るうえで欠かせないのが、シュミット・カセグレン式(SCT)です。
シュミット・カセグレン式は、反射望遠鏡の主鏡と副鏡を利用しながら、前面にシュミット補正板を配置した光学系です。
比較的大きな口径を持ちながら、鏡筒をコンパクトにまとめやすいことが特徴の一つです。
セレストロンが設立された当時、シュミット・カセグレン式望遠鏡そのものはすでに存在していました。
しかし、当時のSCTは製造が難しく、非常に高価なものでした。
そこでトム・ジョンソンは、シュミット補正板を効率的に製造するための「マッチプレート」と呼ばれる製造技術を開発します。
これによって、従来は熟練した技術者が個別に製作していたシュミット補正板を、より効率的に生産できるようになりました。
セレストロンは、この技術を利用してSCTを量産化し、より多くの天文愛好家が大口径の望遠鏡を楽しめるようにしていきます。
つまり、セレストロンはシュミット・カセグレンそのものを発明したメーカーではありませんが、SCTを量産し、天文愛好家に広く普及させたメーカーの一つとして重要な存在となりました。
「Celestron」というブランドが生まれる
1960年に設立された当初は「Celestron-Pacific」という名称でした。
1964年には、20インチのシュミット・カセグレン式望遠鏡「Celestronic 20」を発表。
同年には22インチのSCTも製造されています。
その後、会社名から「Pacific」が外され、現在知られているCelestron(セレストロン)というブランドへとつながっていきました。
この時期からセレストロンは、天体望遠鏡メーカーとして本格的に知られるようになっていきます。
1970年に登場した「C8」
セレストロンを代表する望遠鏡として、現在でも特に有名なのがC8です。
C8は、8インチ(約203mm)のシュミット・カセグレン式望遠鏡です。
セレストロンの公式沿革によると、C8は1970年に登場しました。
8インチという比較的大きな口径を持ちながら、シュミット・カセグレン式の特徴を生かしてコンパクトにまとめられ、当時1,000ドル以下で販売されたことも大きな話題となりました。
これまで大口径の天体望遠鏡は、価格や大きさの面から一般の天文愛好家にとって扱いにくい存在でした。
C8は、大口径とコンパクトさ、そして価格面のバランスによって、より多くの人が本格的な天体観測を楽しむきっかけとなった望遠鏡です。
その後もセレストロンはラインアップを広げ、1971年には5インチのC5、1972年には14インチのC14を発表しています。
現在でも「C5」「C8」「C14」という名称は、セレストロンを代表するモデルとして知られています。
天体写真の分野にも進出
セレストロンは、肉眼で星を見るための望遠鏡だけを作ってきたメーカーではありません。
天体写真の分野にも早くから取り組んでいます。
1971年には、天体写真向けのCelestron-Williams Cold Cameraを発表しました。
さらに1990年代後半には、Santa Barbara Instruments Group(SBIG)と協力して「Fastar」を開発。
Fastarは、対応するシュミット・カセグレン式望遠鏡の副鏡を交換することで、より明るいF値で撮影できるようにするシステムです。
セレストロンの説明では、F10の望遠鏡をF2で使用することで、撮影速度を大幅に高めることができ、最大28倍の高速化が可能とされています。
このように、セレストロンは眼視観測だけでなく、天体写真を楽しむユーザーにも対応する技術を発展させていきました。
そして「EdgeHD」へ
セレストロンの光学技術は、その後も発展していきます。
2009年には、新しい光学系としてEdgeHDを発表しました。
EdgeHDは、従来のシュミット・カセグレン式を発展させた光学系で、像面湾曲やコマ収差を抑え、広い視野でも良好な星像を得ることを目的としています。
特に天体写真では、画面中央だけでなく周辺部まで星をできるだけ良好な形で写すことが重要です。
こうした需要に対応するために開発されたのがEdgeHDです。
C8から始まったセレストロンのSCTは、こうした技術によって現在の天体観測・天体撮影にもつながっています。
古いセレストロンの望遠鏡にも価値があります
買取の仕事をしていると、
「かなり古い望遠鏡なので、もう価値はないですよね?」
と聞かれることがあります。
しかし、望遠鏡は製造年が古いというだけで価値が決まるわけではありません。
セレストロンの場合も、C5、C8、C14などのシリーズ名だけではなく、具体的なモデルや仕様、鏡筒の状態、光学系の状態、架台、コントローラー、アイピースなど、さまざまな要素を確認する必要があります。
また、望遠鏡は本体だけでなく、付属品が多い製品もあります。
例えば、
- 鏡筒
- 赤道儀・経緯台
- アイピース
- ファインダー
- コントローラー
- 各種アダプター
などです。
長期間使用していない望遠鏡の場合でも、自己判断で処分してしまうのではなく、まずは一度査定に出してみることをおすすめします。
特に古い天体望遠鏡は、一般的なリサイクルショップでは価値を判断しにくいものもあります。
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